このページでは国土交通省の賃貸借トラブルに係る相談対応研究会において、
民間賃貸住宅に関するよくある相談内容をQ&A形式に取りまとめたものを一部抜粋し、紹介しております。
※あくまで例を示すものであり、法的な見解を示すものではないことにご留意頂いた上でご活用ください。
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【入居中に関する Q&A】
開く更新
家賃
修繕・改善
管理
所有者や管理会社の変更
【退去時に関する Q&A】
開く原状回復
退去の告知等
敷金
開く賃貸借契約締結に当たって、敷金を支払う義務はあるか。
敷金の預け入れが契約条件となっている場合には、支払いが必要と考えられます。
賃貸借契約締結に当たって、敷金以外の一時金(礼金等)を支払う義務はあるか。
敷金以外の一時金は、地域の習慣として行われており、様々な名称や金額のものがあります。それらの一時金の支払いが契約条件となっており、これを合意した場合には、支払う必要があります。
契約時に敷金を2ヶ月分、支払った。退去時に1ヶ月分は必ず差し引かれ、残りの1ヶ月分から修繕が必要となった場合の経費を控除し、残りを返金するといわれた。自分が特に破損等しなかった場合、全額返金してもらえないのか。
各地域の商習慣によって、敷金から一定金額を控除する特約がある場合もあり(例えば償却特約や敷引特約と呼ばれることもあります)、一般的には有効であると解されています。
仲介手数料
開く不動産仲介会社の仲介により賃貸借契約を締結した場合、仲介手数料を支払う義務はあるか。
賃貸借契約が成立した場合には、貸主・借主の双方あるいは一方から、不動産仲介会社に対して成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
入居前に家賃の支払義務は発生するのか。
基本的には契約期間の開始日から支払義務が生じると考えられます。
始期 | 年 月 日から | 年 月間 |
終期 | 年 月 日まで |
入居前の家賃支払い
開く気に入った物件があり、契約したら、翌日を契約始期とされ、賃料を払うようにいわれた。すぐには引っ越しの手配もできないし、自分の事情ですぐに入居することができない。入居していないのに、家賃を支払わなければならないのか。
基本的には、物件が入居可能な状態である場合、入居の有無にかかわらず、契約日以降は家賃の支払義務が生じます。事情を説明し、始期について相談してみる余地はあると思われますが、支払いを求められれば基本的に支払義務はあると考えられます。
賃貸借契約締結に当たって、家賃の支払方法を指定された。従う義務はあるか。
賃貸借契約はあくまでも貸主と借主の合意が原則となります。契約条件となっている場合、当該物件の賃貸借契約を締結するためには、その家賃の支払方法に従わなければならないと考えられます。
クレジットカードによる家賃支払い
開く入居するためには、クレジットカードを申し込み、そのクレジットカード払いでしか家賃支払いを受け付けられないといわれた。必ずクレジットカードに加入する必要があるか。また、カード手数料を負担しなければならないか。
賃貸借契約はあくまでも貸主と借主の合意が原則となります。契約条件となっている場合、当該物件の賃貸借契約を締結するためには、クレジットカードに申し込み、その手数料は、賃料債務支払のための費用として借主が負担しなければならないと考えられます。
連帯保証人
開く賃貸借契約の締結に当たって、連帯保証人を立てる必要はあるか。
連帯保証人を求めることは実務上広く行われており、借主が連帯保証人を立てることが契約条件となっている場合には、連帯保証人を立てる必要があります。
保証会社との契約
開く賃貸借契約の締結に当たって、保証会社と契約することが条件であるといわれた。保証会社との契約は必要か。
保証会社との家賃債務保証委託契約が契約締結の条件となっている場合、保証会社との契約は必要であると考えられます。
連帯保証人を立てた上での保証会社との契約
開く気に入った物件で契約しようとしたら、連帯保証人を立て、さらに保証会社と契約しなくてはならないといわれた。従う必要はあるか。
賃貸借契約はあくまでも貸主と借主の合意が原則となります。契約条件として示されている場合、当該物件を賃貸借契約するためには、保証会社と契約する必要があると考えられます。
賃貸借契約の締結に当たって、保険への加入義務はあるか。
保険の加入が契約条件となっている場合には加入する必要があると考えられます。
保険の種類の選択
開く息子が大学に入学する際に加入した共済保険は、火災や個人賠償にも対応できる。しかし、部屋を借りるには、不動産仲介会社が指定する保険会社の住宅総合保険に加入しなければならないといわれた。従わなければならないか。
基本的に、保険には加入しなければならないと考えられます。保険会社の指定に従う必要があるかどうかは、まず、加入している共済保険の内容と、指定された保険の内容を十分に比較した上で、不動産仲介会社と相談するのが良いと考えられます。
不動産仲介会社が行った説明と物件の状態が全く異なっていた。不動産仲介会社に責任はないのか。
不動産仲介会社は、宅地建物取引業者として、借主になろうとする者に対して重要事項を説明する義務を宅建業法上負っています。これに違反する行為は、行政処分の対象となる可能性があるほか、事情によっては損害賠償責任を負ったり、悪質な場合には刑事罰が科せられたりする可能性もあります。
不動産広告掲載事項の不設置
開く不動産仲介業者のチラシに、IHクッキングヒーター設置と記載してあった。火災が怖いため、IHクッキングヒーターにこだわって物件を探しており、入居を決めたが、実際にはガスコンロであった。どうすれば良いか。
不動産仲介会社が説明義務違反となる可能性があります。また、「IHクッキングヒーター」が備え付けられていることが借主にとってどのような意義を有していたかによって債務不履行による解除や損害賠償、消費者契約法に基づく取消等が考えられますから、よく事実関係や経緯を確認すると良いでしょう。
契約成立前のキャンセル
開く契約前であるが、キャンセルは可能か。
契約成立前であればキャンセルすることは問題ありません。ただし、いつの時点で契約が成立したと判断できるかは難しいことがありますので、まずは速やかにキャンセルしたい旨を貸主に申し出て、話し合う必要があると考えられます。
申し込み後のキャンセル
開く息子の大学入学のため、賃貸住宅を借りようと、申込書に記入し、「申込金」として、1万円を支払った。しかし、その後、地元の大学に合格したため、キャンセルしたいができるか。
キャンセルできます。また、契約成立前に不動産業者から要求されて支払った申込金は、預かり金として返還を請求することができます。
賃貸借契約後、契約期間終了前に借主の側から解約することができるか。
解約権を留保している場合は解約することができます。解約権が留保されていない場合は貸主と合意することが必要です。
入居者都合による解約
開く賃貸住宅を契約したものの、まだ入居もしていなかったが、急な転勤が決まったため、解約したいが可能か。
解約できます。なお、契約成立後から解約までの家賃は支払う必要があります。
定期借家契約の物件に契約後、解約できるか。
解約権留保の特約があれば特約により、また、特約がなくとも転勤・療養・親族の介護その他のやむを得ない事情により、借主が当該物件を使用することが困難となった場合は、解約申入れから1ヶ月後に解約できます。
定期借家契約と契約解除
開く定期借家契約について2年間の契約をしていた。まだ入居2ヶ月であるが、突然、転勤が決まり、引っ越すこととなった。中途解約を申入れたが、2年間の定期契約であり、途中解約はできないといわれた。後22ヶ月分の家賃を支払わねばならないのか。
借りた建物の床面積が200㎡未満である場合には、解約の申入れから1ヶ月後に解約できます。
賃貸借契約の期間満了時に行われる更新について、教えて欲しい。
期間満了後に賃貸借契約を引き続き存続させるための手続きです。更新には当事者間の合意に基づく更新(合意更新)と、借地借家法の規定による更新(法定更新)があります。
更新拒否
開く貸主から更新を拒否された。住み続けたいが退去しなければならないか。
法定更新の要件が満たされていれば、退去する必要はないと考えられます。
合意のない契約内容変更
開くペットを飼いたかったので、ペット禁止でない物件を探し住んでいた。今回、更新となり、送られてきた新しい契約書をみたら、突然ペット禁止特約が追加されていた。住み続けることはできないか。
合意による更新は基本的には貸主と借主の合意の上となります。特約の追加について、説明を求め、良く話し合うことが大切であると考えられます。
なお、法定更新は、賃貸期間を除き、従前の契約条件によることになりますが、生活上のルールのことは良く話し合うことが大切です。
更新料の支払義務
開く更新に当たって更新料の支払いを求められたが、支払う義務はあるか。
更新料の支払義務については、これまで法的な見解が分かれていましたが、平成23年7月15日に最高裁判所による判決が出され、更新料支払条項の有効性については、特段の事情がない限り、有効であると判断されました。
家賃滞納の場合の支払猶予
開く家賃を滞納しているが、どのくらい支払いを猶予してもらえるか。
家賃の滞納は契約に違反する行為であり、家賃滞納により借主との信頼関係が破壊されたといえる場合には、賃貸借契約が解除され明渡し請求を受ける場合があります。どの位の期間滞納したら信頼関係が破壊されるのかという点については、個別事情によりますので、一概にいえません。
家賃滞納による即時退去特約
開く賃貸借契約書中に「家賃滞納があった場合には即時退去する」旨の条項がある。急に派遣契約が打ち切りとなり、初めて家賃滞納してしまったが、当該条項どおり即時退去しなくてはならないか。
家賃滞納等一定の場合に無催告解除を可能とする特約があった場合であっても、信頼関係が破壊されていない限り、催告が必要です。ただし、催告がなくても、まずは、速やかに支払いの意思を示すことが必要であると思われます。
家賃滞納の場合の分割払いの可否
開く既に滞納した家賃について、分割払いに応じてもらうことはできるか。
貸主に分割払いに応じる法律上の義務がある訳ではありません。貸主と相談することが大切であると考えられます。
遅延損害金の定め
開く契約書には家賃滞納の場合14.6%の遅延損害金が発生する旨の記載がある。支払義務はあるか。
上記記載は家賃滞納の場合の遅延損害金の特約として有効です。また、消費者契約法上の遅延損害金の上限額にも抵触していないため、原則として支払う必要があります。
保証会社等へ支払った滞納家賃の貸主への不払い
開く家賃等は保証会社へ支払うことになっており、これまで延滞することなく支払ってきた。ところが、保証会社が倒産し、家主から、半年分、家賃が滞納されているので支払ってくれといわれた。通帳に送金の記録もあり延滞分は一切ないが、なんらかの支払義務を負う可能性はあるか。
基本的には、一度支払った家賃を再度支払う必要はありません。支払記録は、家賃滞納していない証明として保管しておくと良いです。
追い出し行為
開く家賃を滞納していたら、居住妨害をしてきた。どうすれば良いか。
借主が任意に退去しない場合であっても、貸主等が私的な明渡し強行行為に及 ぶことは自力救済として禁止されており、違法行為です。
鍵の付け替え
開く家賃を滞納していたら、突然、無断で鍵が付け替えられており、自分の部屋から閉め出された。どうすれば良いか。
鍵を付け替えて居室から閉め出す行為は、借主の賃貸物件を占有使用する権利を侵害する行為に当たり、自力救済行為として違法となります。
荷物の運び出し
開く家賃を滞納していたら、留守中に荷物を全て運び出されてしまった。どうすれば良いか。
原則として、借主の荷物は借主の所有物ですから、貸主が勝手に処分することは できないと考えられます。
賃貸住宅の修繕について、入居者は修繕義務を負うか。
借主は原則として修繕義務を負いません。修繕義務は貸主にあります。
室内の軽微な修繕
開く入居した時からついている部屋の中の蛍光灯が切れた。自分で取り替えるのか。
借主は原則として修繕義務を負わず、貸主に通知する義務があります。ただし、契約内容により、小規模な修繕は貸主に通知することなく、借主の負担で行うことができます。
給湯器の取り替え
開く給湯器が壊れお湯が使えなくなった。修理会社に連絡したところ、給湯器を新しいものに取り替える必要があるといわれた。大家に修繕してもらえるか。
借主は原則として貸主に取り替えを要求できます。
貸主の修繕への対応
開くシャワーのホースが破損した。大家に修繕を依頼しているが、いっこうに直してもらえない。不便なので早く直して欲しいのだが、自分で勝手に直して良いか。
原則として貸主の承諾が必要です。
居住者に責任のない水漏れ
開く台所の下で水漏れしているようなので、調べてもらったら、配水管の老朽化による水漏れだといわれた。大家にいったら、使い方が悪いのだから、自分で修繕してくれといわれたが、自分で修繕しなければならないのか。
借主は原則として修繕義務を負いません。
複数の過失者による水漏れ
開く入居する物件を決めるに当たって、洗濯パンのサイズを不動産仲介会社に電話で確認したところ、入るという回答であったため入居を決めた。実際に引っ越しをしてみたら、洗濯機が入らず不動産仲介会社にいったところ、担当者が無理矢理、配水管を押し込んで洗濯機を設置した。数回、洗濯機を使い、3日間不在にしたところ、洗濯機の配水管より漏水し、部屋のカーペットの貼り替えが必要な状態である。不動産仲介会社は、不在にする際、洗濯機への給水栓を止めなかったのが悪いといって、こちらが全額負担で修理するようにいってきている。全額、費用負担しなければならないのか。
誰に、どの程度の、過失があるのかについて良く話し合う必要があります。
過失者の特定
開くドアを開けた際、ドアノブで部屋の外の壁に傷をつけてしまった。ダンパーがついていれば傷つけることはなかったと思うが、そのドアにはついていなかった。傷の修繕費を負担しなければならないか。
貸主に過失があるかについて話し合う必要があります。
結露
開くアパートの結露がひどく、壁紙にカビが生えてしまった。大家にクレームをいったところ、住み方が悪いのだから自分で修繕するようにといわれた。自分で壁紙を貼り替えないといけないか。
通常の住み方であれば借主に修繕の義務はありません。ただし、結露は様々な要因でおこりますので、まずは貸主と話し合うと良いと考えられます。
室内の設備が壊れ、不自由が生じた場合、家賃減額は可能か。
借主は基本的に家賃を支払う必要があります。設備が使えないことによる生活上の不便が著しい場合には、設備が使えない期間の家賃減額を請求することができる可能性があります。
給湯器の修繕による不便
開く給湯器が壊れお湯が使えなくなった。修理できるまで、お湯が使えず、入浴もできず生活が大変不便であり、この間の家賃を減額してもらいたい。
借主は、給湯器が使えない間、家賃の減額を請求することができる可能性があります。
修繕費の貸主への請求
開く修繕費を大家に請求することは可能か。
修繕費は原則として貸主が負担しますが、まず貸主に修繕を行う旨、通知をすることが必要です。
水漏れ修理の費用負担
開く突然、水漏れしたため、修理会社に連絡し、修理してもらった。大家に修理費を請求することはできるか。
まずは貸主に通知することが必要です。緊急に修理する必要があった場合は、応急程度もしくは普通の修繕をし、その費用を請求できると考えられます。
修繕のため居住できない期間について、引越代、居住費を大家に負担してもらいたい。
貸主に請求することが可能と考えられます。
雨漏り修繕中の引越費用
開く雨漏りがひどくなってきており、生活に支障がある。修理ができるまで引っ越したい。この費用は自分で払わないといけないか。
全く居住ができないのであれば、貸主に請求することが可能と考えられます。
建物の構造等、抜本的な修繕を大家に要求できるか。
修繕義務の範囲を超える可能性があります。
断熱材を入れる等の結露対策
開くアパートの結露がひどく、壁紙を始め、至る所にカビが発生する。換気扇をつける等対応はしているが、カビの発生が止まらない。大家に話をしたら、壁紙をクリーニングするとのことであったが、子どもにアレルギーがあるため、断熱材を全面的に入れる等十分な結露対策をしてほしい。
修繕方法について話し合うことが必要です。
老朽化し建て替え予定のある物件だが、大家に修繕義務はあるか。
居住に著しい不自由が生じる場合、貸主に修繕義務はあると考えられます。
建て替え前の建物の雨漏り修繕
開くアパートが老朽化しており、雨漏りがする。大家に修理を依頼したが、近々建て替え予定であるため、修理はしないといわれているが、修繕してもらえないのか。
居住に著しい不自由が生じる場合、貸主は経済的に可能な範囲において修繕義務を負います。
管理会社の管理責任
開く管理会社に管理費を支払っている場合に借主から管理業務の実施責任を問えるか。
管理委託契約の内容によります。まずは貸主に相談してみてください。
管理会社の管理責任
開く管理会社の対応が悪く、共用の廊下の蛍光灯が消えたままで危ない。どのようにすれば良いか。
管理委託契約の内容によりますので、まずは貸主に相談してみてください。
隣室の迷惑行為はどうすれば良いか。
貸主に事情を説明し、注意等の対応をしてもらうと良いでしょう。
迷惑行為の抑止
開く隣の部屋の住民が夜間、あまりにもうるさい。大家から注意してもらえないか。
貸主に状況を説明し、注意等の対応をしてもらうようにしましょう。
迷惑行為による退去
開く上階の居住者が毎日、深夜に大きな音をたてて走り回っている。大家に苦情を伝えているが、大家はなにもしてくれず、改善がみられない。賃貸借契約を解除することはできるか。
社会生活上、通常受忍すべき限度を超えていれば可能であると考えられます。ただし、その判断は関係する事情を総合的に考慮してなされます。
迷惑行為による慰謝料請求
開く隣室の住人が、毎夜、騒音を立てるため、不眠症となった。慰謝料請求することはできるか。
騒音が受忍限度を超えている場合には、請求することができると考えられます。
居住者の過失による水漏れ
開く風呂の水を止め忘れ、部屋が水浸しになったほか、下の部屋にも水が漏れた。大家から、部屋の床の張り替え、下の部屋の天井の張り替えを要求された。全面張り替えの工事見積もりが来ており、高額だが支払わなければならないか。また、下の部屋のTVに水がかかり壊れたとして賠償請求が来ているが支払わなければならないか。
損害賠償する必要があります。
迷惑行為禁止特約について
開く自分の行為が迷惑行為禁止特約に反するとして明渡しを請求された。従わなくてはならないか。
入居時に同意した迷惑行為禁止特約が有効であり、かつ、特約に違反して、契約解除が認められる場合には、明渡し請求に応じなければならないと考えられます。
迷惑行為禁止特約違反を理由とする明渡し請求
開く動物の飼育禁止特約のある賃貸マンションに入居しているが、内緒でウサギを飼っていた。人に迷惑をかける飼い方はしていないが、先日、大家にウサギがいることを知られてしまい、特約違反を理由に退去を求められている。退去しなくてはならないのか。
基本的に特約は守る必要があります。退去が必要かどうかは貸主と話し合うことが大切であると考えられます。
隣人からの苦情について
開く生活音がうるさいと隣人から苦情がきた。どうすれば良いか。
まずは、いつ、どのような音がうるさいのか等について具体的に話し合い、解決の道を探るのが望ましいと考えられます。
入居中に売買により建物の所有者が変更になった場合、引き継がれる借主の権利及び義務はなにか。
入居中に売買により所有者が変更になった場合、変更後の所有者には、変更前の所有者の賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれます。
一般売買による建物の所有者の変更時の扱い
開く2年契約でアパートに入居した。8ヶ月が経過したころ、居住しているマンションの所有者が変更になると聞いた。新しい所有者から退去や新規に敷金を要求されたら、どうすれば良いか。
一般売買による所有者変更では賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれるため、契約期間内の継続を主張することができます。また、貸主の敷金返還義務(家主変更時の敷金残金)も引き継がれるため、原則として、改めて敷金を支払う必要はありません。
競売による建物の所有者の変更が借主の権利・義務に与える影響(原則)
開く入居中に競売により建物の所有者が変更になった場合、引き継がれる借主の権利及び義務はなにか。
入居中に競売により所有者が変更になった場合に引き継がれる権利の有無は、借主の入居時期により異なります。
競売による所有者の変更時の敷金の取扱
開く競売によりアパートの大家さんが変わった。敷金は新しい大家さんから返してもらえるのか。
アパートの抵当権が実行され、競売によってそのアパートが競落された場合には、あなたが賃貸借契約を締結してアパートの引渡を受けた時よりも前に登記された抵当権の競売の場合には前の貸主から敷金を返してもらい、あなたが賃貸借契約を締結してアパートの引渡を受けてから登記された抵当権の競売の場合には、競落人が新しい貸主となりますから、その新しい貸主から敷金を返してもらいます。
原状回復について
開く原状回復とはなんですか。
原状回復の定義は、国土交通省が平成23年8月に再改訂した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(以下、”ガイドライン“とする)」において、「居住者の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」と定められています。
耐用年数について
開く耐用年数とは、どのような考え方ですか。
原状回復義務があるとされる場合においても、経年による変化や通常損耗が含まれるため、借主が修繕費用の全てを負担することとなると、契約当事者間の費用配分の合理性を欠くなどの問題があると考えられています。そのため、借主の負担については、建物や設備の経過年数(耐用年数を使用)を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させるのが適当であるとされています。
原状回復ガイドラインについて
開く国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」とはなんですか。
民間賃貸住宅における賃貸借契約は、いわゆる契約自由の原則により、貸す側と借りる側の双方の合意に基づいて行われるものですが、退去時において、貸した側と借りた側のどちらの負担で原状回復を行うことが妥当なのかについてトラブルが発生することがあります。
こうした退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして平成10年3月に取りまとめたものであり、平成16年2月及び平成23年8月には、裁判事例及びQ&Aの追加などの改訂が行なわれています。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
なお、本事例集の参考資料として、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」から「原状回復の費用算定の手順(イメージ)」、「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」、「契約書に添付する原状回復の条件に関する様式」、「原状回復の精算明細等に関する様式(例)」を掲載していますので、適宜、活用してください。
原状回復ガイドラインの改訂について
開く原状回復ガイドラインは、平成23年に改訂されたそうですが、改訂のポイントはなんですか。
改訂のポイントは、3点あり、原状回復トラブルを未然に防止するための対応と、税法の改正を受けた残存価値割合の変更、Q&Aや裁判事例の追加です。
畳
開く畳の表替費を請求されたが支払う必要はあるか。
原則として支払う必要は無い場合が多いと考えられます。ガイドラインでは、「畳の裏返し、表替えは、次の入居者のためのアップグレードに相当すると考えられる。」とされています。
フローリングのワックスがけ費を請求されたが支払う必要はあるか。
原則として支払う必要は無い場合が多いと考えられます。ガイドラインでは、「フローリングへのワックスがけは、通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、貸主負担とすることが妥当と考えられる。」とされています。
フローリング・カーペット(入居者の故意・過失によるキズへの原状回復)
開く退去のための引越作業中、フローリングやカーペットに目立つキズができてしまった。フローリングやカーペットの張替え費用を請求されたが、引越業者が誤って作ったキズである場合にも支払う義務があるか。
原則として支払義務があるものと考えられます。ガイドラインでは、「引越し作業中に出来たキズは、借主の善管注意義務違反又は過失に該当する場合が多いと考えられる。」とされています。なお、借主は引越業者に対して別途費用の請求を行える場合も多いと考えられます。
壁
開くテレビや冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみについて、清掃してもきれいにならない。原状回復費を請求されたが支払う必要はあるか。
原則として支払い義務は無いものと考えられます。ガイドラインでは、テレビ、冷蔵庫等の後部壁面のいわゆる電気ヤケは、「通常の使用ととらえるのが妥当と考えられる。」とされています。
カビ、シミ
開く結露からカビが発生し、清掃してもきれいにならない。原状回復費を請求されたが支払う必要はあるか。
結露を貸主に通知もせず、かつ拭き取るなどの手入れを怠っていたような場合には、原則として原状回復費用を支払う必要があると考えられます。
タバコ等のヤニ、臭い
開く壁紙にタバコの臭いが染みついていると原状回復費を請求されたが支払う必要はあるか。
ガイドラインでは、「壁紙にタバコの臭いが染みついている状態というのは、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる。」とされており、原状回復費を支払う必要があるものと考えられます。
くぎ穴
開く自作で棚を設置するため壁にくぎを打っていた。壁に穴があるため原状回復費が必要といわれたが支払う必要はあるか。
ガイドラインでは、下地ボードの貼り替えが必要な程度のものであれば、「通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。」とされており、原状回復費を支払う必要が生じるものと考えられます。くぎ穴の程度を確認することが必要です。
網戸の張替え
開く特に破損等はないが網戸を張り替えるため、原状回復費が必要といわれたが支払う必要はあるか。
ガイドラインでは、特に破損等のない網戸を張り替えるのは、次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップに相当すると考えられており、原状回復費の支払いは不要であると考えられます。
ガラスの入れ替え
開く地震によってガラスにひびが入ってしまった。退去直前であるため、このまま退去したいが、ガラスの修理代は支払う必要はあるか。
ガイドラインでは、「自然災害による損傷について借主に責任は無いと考えられる。」とされており、修理代は原則として支払う必要がないものと考えられます。
ペットによる傷
開くペットがドアをひっかいてしまい傷がついている。この傷について、原状回復費が必要といわれたが支払う必要はあるか。
ガイドラインでは、ペットがドアをひっかいてしまってできた傷については、明らかに通常の使用による結果とはいえず、「借主負担と判断される場合が多いと考えられる。」とされており、原状回復費の負担を求められる場合があります。
鍵の取り替え
開く退去時に鍵の取り替え費を請求されたが支払う必要はあるか。
ガイドラインでは、「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、貸主の負担とすることが妥当と考えられる。」とされており、原則として鍵の取り替え費は支払う必要がないと考えられます。
ハウスクリーニング代
開く退去時に部屋全体のクリーニング代が必要であるといわれた。支払う必要はあるか。
ガイドラインでは、「借主が通常の清掃(具体的には、ゴミの撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回り、換気扇、レンジ周りの油汚れの除去等))を実施している場合は、次の入居者確保のためのものであり、貸主負担とすることが妥当と考えられる。」とされています。ただし、台所周りの油汚れやすす、水周りの水垢やカビ等について、「使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、借主の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。」とされており、手入れが悪く発生、拡大したと考えられる場合は借主負担ともなりますので、貸主とよく話し合うことが必要です。
退去の事前告知(借主一方からの解約等の場合)
開く借主から一方的に解約等を行う際、借主から退去に際し、事前告知は必要か。
借主が一方的に契約を解約し、退去をする場合、事前告知が必要か否かは、契約期間の定めの有無によります。
退去の事前告知に関する特約について
開く就職に伴い3月末に賃貸アパートを退去する予定である。退去の事前告知を行ったところ、貸主から契約書に記載してあるからと、書面での提出を要求された。書面で提出する必要があるか。
退去の事前告知の方法に関する特約は原則有効ですので、書面での提出が必要となります。
借主からの一方的な解約等における違約金について
開く契約期間中に借主から一方的に解約等を行う場合、残期間家賃等の違約金を支払う必要性はあるか。
適切な申告期間のもと留保された解約権を行使した場合には支払う必要がありませんが、その他の場合は、原則支払う必要があります。
入居前までに修繕するという約束で契約したのに修繕がなされていない。解約は可能か。
解約権を留保している場合には、貸主に解約権に基づく解約の申入れができます。また、貸主は修繕した状態で使用収益させる義務を負うのにこれを履行していないのですから、債務不履行に基づく解除あるいは損害賠償請求(引越代等)をすることも可能と考えられます。
入居条件としていた修繕が実施されていないことによる解約
開く部屋の下見をした際、部屋がたばこ臭く、台所やお風呂も汚れが目立った。口頭ではあったが、不動産仲介業者が、入居までに、部屋の壁紙の貼り替えと床の掃除、台所や風呂についてもクリーニングをするというので、契約した。しかし、入居日に部屋にいってみたら、全く修繕もクリーニングもなされていない。解約できるか。また、このたばこ臭い部屋に入ることは嫌なので、ホテルに泊まり、荷物も引越業者の倉庫預かりとしてもらった。これらの費用を負担してもらえるか。
債務不履行に基づく解除が可能であると考えられます。また、損害賠償請求(引 越し代等)も可能と考えられます。
貸主からの解約や更新拒否による退去請求
開く貸主から退去を要求された。退去しなくてはならないだろうか。
貸主側に解約を要求する正当事由がある場合には、然るべき予告期間の後に解約し退去する必要があります。正当事由の成立に関しては、個別具体的な検討が必要となります。
建物の老朽化に伴う貸主から借主への立ち退き請求
開く建物の老朽化に伴う建替えのため、大家から立ち退き請求があった。確かに、築50年以上が経過しており、至る所に無理がきており、補修ではなく建替えが必要なのは分かるが、ここに住み続けたい。どうしても退去しなくてはならないか。
貸主からの一方的な解約が可能かは、正当事由が成立するかによります。建物の老朽化も正当事由を考慮する際の一要因ではありますが、他の要因も加えた総合的な考慮が必要ですので、ADR機関等、法律の専門機関に相談することが望ましいと考えられます。
借主からの退去日の延期
開く借主が退去日を延期することは可能か。
契約期限によります。契約期間内であれば、延期は可能ですが、契約期間後であれば、一方的な延期はできません。ただし、賃貸借契約では当事者間の合意が尊重されますので、まずは貸主に事情を話し相談することが考えられます。
退去期限の延長
開く賃貸住宅を本日退去する予定であったが、急に体調不良になったため、退去日を3日ほど遅れさせられないか。
賃貸借契約では当事者間の合意が尊重されますので、まずは貸主に事情を話し相談してみると良いでしょう。
借主からの退去予告の撤回の可否
開く借主からの退去予告は撤回できるか。
原則、一方的な撤回はできません。ただし、賃貸借契約では当事者間の合意が尊重されますので、事情がある場合は、貸主に相談することが考えられます。
契約期間途中での退去予告の撤回
開く4月から3年契約でアパートに入居したが、もっと安い物件を見つけ、7月に不動産仲介会社に「9月15日に退去する」と書面で連絡した。しかし、9月になって、入居予定だった物件の実態が仲介業者の説明と大きく異なることが発覚し、入居を取りやめた。退去を撤回し、引き続き現在の住宅に住み続けたいと思っているが、退去を撤回することは可能だろうか。
一度行った契約の解約の意思表示は一方的な意思では撤回できません。次の借主が決まってない場合等には、継続して居住できる可能性もあるので、改めて契約が可能か等について貸主に相談してみることが考えられます。
退去後の連絡先
開く退去に際し、貸主に転居先の連絡先を教える必要はあるか。
残務整理のために必要な範囲の連絡先は教える必要があると思われますが、特約がない限り、教える義務まではないと考えられます。
退去後の連絡先を教える必要はあるか。
開く賃貸マンションの退去手続きを進めていたところ、宅配便の転送等を理由に、転居先の連絡先等を教えるよういわれた。必要性をあまり感じないため、教えたくはないのだが、断っても良いだろうか。
特約がない場合、教える義務はないと考えられます。ただし、敷金の精算、最終月の家賃支払い等、実際に連絡をとる必要がある場合、その連絡手段等を話し合っておく必要があると考えられます。
(1)意義
「敷金(「保証金」と呼ばれる場合もあります)」とは、借主の賃料の滞納や、不注意による賃借物に対する損傷・破損等に対する費用等、賃貸借契約から生じる一切の債務を担保するためのものと考えられています。
したがって、明渡しのときに、借主の債務を支払った残りは返金されると考えられます。なお、本定義以外のものを「敷金」と名付けている場合もありますので、契約に当たっては、その内容を十分確認してください。
「Qその他の一時金」をご参照下さい。
(2)支払義務
契約は、貸主と借主の合意が原則となります。敷金は、全国的に行われている慣習となっており、国土交通省「賃貸住宅標準契約書」においても、敷金は本条の中で規定しています。敷金の預け入れを貸主が賃貸借契約成立の条件として提示した場合には、当該貸主と契約するためには敷金を預け入れる必要があることになります。
<参考>
第6条 乙は、本契約から生じる債務の担保として、頭書(3)に記載する敷金を甲に預け入れるものとする。
2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺をすることができない。
3 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を無利息で乙に返還しなければならない。ただし、甲は、本物件の明渡し時に、賃料の滞納、第14条に規定する原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。
4 前項ただし書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。